西洋医学的な観点から

西洋医学的には神経の病気です

パーキンソン病は『難病』指定の病気ですが、それ自体で生命を落とす病気ではありません
そしてまだ決定的な治癒方法や原因が不明な病気でもあり、脳のCTやMRIに特異的な異常は見ることはない不可思議な病気です
パーキンソン病の死因として寝たきりにより身体機能低下による感染症、転落や外傷に寄る原因が最も多のです
運動症状を改善させる治療により生命の予後は以前よりは数段改善されているが決定的な治療法がまだ無いのが現実です
認知症の発症するリスクも健常者の倍以上ともされています

パーキンソン病は西洋医学的には、中脳黒質緻密質のドーパミン分泌細胞の変性
ほとんどが弧発生であり特発生ではないのです
パーキンソン病は感受性遺伝子によるものとが多数と云われいる
感受性遺伝子とは外的要因により、突然変異をして行く遺伝子です

 

ドーパミンとは
ひと言で云うと、脳に対して『ヤル気』を出すように指示する物質です
ドーパミンはドーパミンニューロンが活動して分泌されています日常で何かをする時に意識するしないに関わらずドーパミンが作用しているのです
ドーパミンニューロンは大脳基底核とそれに指示を与える大脳皮質に枝を伸ばしてドーパミンを分泌します
歩く、走る、話す些細な行動もこのドーパミンが作用しているのです
溝に落ちないように気をつけてるなどの危険回避行動や横断歩道で信号が点滅しているので早足に切り替えるなど、順番を組み合わせたり企画したり戦略を練ったりするのもドーパミンの作用により日々学習しているのです
ドーパミンが減ってしまうと他の神経物質ともアンバランスが生じてしまいます
どういう順番で筋肉を動かしていいのか分からなくなったり、物覚えが低下したり注意力や集中力が低下したしたりしてしまうのです
単純に考えればこのドーパミンの量を増やしてあげさえすれば、パーキンソン病の軽減に繋がる訳ですが……実はそれだけでは無いのです

黒質とは
メラニン色素に富む神経が集まっているので黒く見える(黒いのは人間だけだそうで)
大脳からの刺激を受け、運動と緊張を無意識に調節する機能を持ってます

大脳基底の神経核とは
要はドーパミンの入出力を行う場所

主な投薬について
促進抑制
脳の神経細胞には身体の動きや働きを『促進』する神経系と、逆に『抑制』する神経系が有ります
脳内における運動神経系は抑制=ドーパミン促進=アセチルコリンという物質が使われてます
この二つが相互関係が最も重要で、どちらかが減少したり増加するのは大変危険な事なのです
身体が動かせるのはこの二つの物質がバランスよく作用しているこそなのです

ほとんど中心的な薬は『レポドバ』と云うドーパミンを促進し、量を増やす為の薬です
この薬の難点は長期服用で様々な副作用が必ず現れ出ます
この薬以外にも副作用は強い薬ばかりです
パーキンソン病の薬は科学的に、臨床的に理にかなったものばかりだと思いますが、主な弊害は薬による副作用がほとんどであると云ってもいいでしょう
難病認定の4項目に
『これらの薬(L−ドパミン)において、効果がみられたならば認定一環とす』
的な内容も含まれてます
この何年も続いている排他的な考えが、ものすごく疑問でとても嫌いです
仕方が無いとは云え、有無も云わさずの副作用がある薬の投与は酷です
しかし不条理とは思えますが、その薬、その治療法しか今は存在しないのです

この難病認定のコンセプトは残念に思います
非常に残念です
この薬の服用の痛みは患者個人もご家族も、ぜひ理解して下さい
分からぬ事、不安な事は些細な事項でも主治医に何でも聞いてください、患者や家族は知る権利が有るはずです



※主な薬の特徴、副作用

アセチルコリンとは
これも運動に関しての大切な物質です
正常時にはアセチルコリンもドーパミン同様に脳の中心部、大脳基底核(運動動作を司るところ)からバランスよく分泌されます
副交感神経や運動神経で刺激を伝達し、血管拡張や心拍数の低下、消化器系の促進、発汗等を促す作用が有ります
パーキンソン病ではドーパミンが異常に減少していきます


そうなると相対的にアセチルコリンの活性優位なり、運動機能障害となるのです
抑制であるドーパミン減少により大脳基底核内部で『常に動け』という指令が出ている事になります
それがパーキンソン病特有の自身の意志とは関係ない手足の震えやぎこちない動きの症状に繋がるわけです
一度発症しはじめると色々な障害も発症します
アセチルコリンは脳内で学習や記憶、覚醒、睡眠に対する神経伝達物質です身体にたいしても休息とエネルギー備蓄に関係する伝達物質としての働きが有ります
しかしドーパミン減少とのバランスを保つ為に抑制する薬=亢コリン類(表一番下)を内服する事によりアセチルコリンを抑える事になります
よって、当薬の主な副作用である『もの忘れ』が出てしまうことに繋がってしまうのです
逆にアルツハイマー型認知症はアセチルコリン減少によるものが原因です
(βアミロイドという物質がアセチルコリンを分泌する神経細胞を集中的に死滅させるからです)


深刻なウエアリング・オフ
Wearing Offとは直訳すると『消耗して切れる』という意味です
パーキンソン病が長期化するにつれ、レボドパの効果が次第に短くなります
このように、レボドパが効いて症状がよくなった状態(ON)と、レボドパの効果が弱まり症状が再び現れた状態(OFF)を、1日のうちに何度も繰り返してしまう現象を『ウェアリング・オフ』といいます
ウェアリング・オフは症状がよくなったり悪くなったりするのを1日に何度も繰り返すことから、患者さんの日常生活に支障を来すことになってしまう
ひいてはレボドパや併用する服薬を増やす事になってしまう、悪循環を生んでしまいます



 

東洋医学的アプローチ

お待たせ致しました本題に入ります
パーキンソン病は東洋医学的観点から『肝の病変』としての位置づけられます
東洋医学では肝には魂が宿る、そして身体の中枢器官であると共に精神を司るとされています


二つのパターンの考え方が有ります
肝の病変が悪化し、血虚生風型のパーキンソン病
高齢による肝陽化風型のパーキンソン病です

肝の主な働き

1.蔵血(ぞうけつ) 肝の第一機能は蔵血(ぞうけつ)です
これは血液を貯蔵してその量を調整して全身に送り出す作用です
2.疎泄(そせつ) 肝の第二の機能は琉泄(そせつ)です
これは気血がスムーズにコントロールする作用です

この二つは筋運動に大きな関わりを持ちます
蔵血(ぞうけつ)機能に狂いが生じれば筋肉に流入する血液の量が減少します
疎泄(そせつ)機能に狂いが生じれば各筋肉が必要とする量の血が流れてこない恐れがあります
ちなみに他にも
3.脾や胃(消化器)の働きを助けます
4.胆のはたらきをコントロールする→胆汁の生成を促進します
5.筋肉を管理して関節運動が円滑に行えるようにします
6.目と関連して、視力を調節しています(目に開竅)
7.血の濡養作用の状況は爪の変化としてあらわれます(華は爪)
  貧血とか爪を観察すると分かるっていいますよね
8.涙は肝液です
と、ありますが
パーキンソン病に特化している内容は蔵血(ぞうけつ)疎泄(そせつ)が最も重要なのです

肝の特徴


血虚生風型のパーキンソン病

肝の病変の初期を肝血虚(かんけっきょ)と位置づけます
肝血虚(かんけっきょ)とは
血を含む津液(しんえき)、精と云った陰液(いんえき)の不足により起こります西洋医学的には血が足りない状態を指します
もしくは事故等の大量出血等のダイレクトな要因でも起きます
厳密に云うと貧血は赤血球の不足で、血虚(けっきょ)は血液そのものが全体的に足りない状態の事です
蔵血機能の低下で体内の血液製造能力が下がっています
陰液(いんえき)とは
簡単云うと身体の中の水みたいなモノです
陰液が不足するそれはラジエターで云う水が無く、加熱が加速してしまうみたいな状態です
と、云う訳で陰液は熱を冷ます冷却 水の役割、肝の中の陰液が不足するとなると冷やす物がないため肝に熱を持つ
熱を持ってのぼせてしまい手足の痺れを引き起こします要は上に登った血液が末端まで行かない状態の事です

肝血虚(かんけっきょ)が長期化すれば肝陰虚(かんいんきょ)そして血虚生風(けっきょしょうふう)に移行します

血虚生風(けっきょしょうふう)とは
筋肉に充分な血が送られないために内風(ないふう)を生じて震えとなって現れます
筋肉の動きが悪くなり動きも怠慢になる
一時的な痙攣から慢性的な痙攣に移行する状態です
西洋医学的観点で、ここにてパーキンソン病の診断が下る事になります

内風(ないふう)とは
身体内に発生する風(ふう)、風邪(ふうじゃ)の事です
東洋学的には、風(風邪(ふうじゃ))は自然界で風が吹き、木が揺れるように目眩や震えを発生させるとされます
なんか表現がそれらしいですね?自然に相照らす所が東洋医学の特徴なのです

この場合の内風(ないふう)は身体の中の陽気(ようき)が高まり過ぎる事により風が発生すると考えます
火を想像してみて下さい自然界でも火は燃えるとき風を発生させませんか?
身体の中で沸き上がった火(熱)が風(かぜ)を引き起こすように、身体内にて風(ふう)が舞う状態だと考えられます生じた風(ふう)は燥を生み、皮膚も乾燥させます
上記の通りこの内風が生じる時点で既に陰液・津液の不足しているのです
要は体内のラジエター的役割のものが甚だしく不足している状態に陥っている状態なのです

特に肝(かん)の陽気が異常に高まっていることになります
このように東洋医学的には手足の『震え』は内風(ないふう)から起こるものと位置づけられます
風(ふう)とは『動』である、そう考えます
身体の揺れやブレが激しく保てない状態までになると五行五気では『肝の風』(かんのふう)これこそ、このケースは『肝の病変』と呼ぶに適合した内容であります
悪化を辿れば、将来的には一時的な痙攣(震え)から常に痙攣を 生じる状態に移行します
風(ふう)は陽気を外に出さない作用も特徴のひとつです
こうして一向に陽気、熱が体外に逃げないと陽気が更なる風(ふう)と結びつき内動をし、悪化を辿る悪循環なループが繰り返し繰り返し発生します
ちなみに風(ふう)は肝(かん)との親和性は非常に高いものとされています
私たちの身体は重力に対して傾いた状態にある時、これを察知する働きである平衡感覚(へいこうかんかく)を持ち合わせています
立つと云う行為は自然と小さく揺れながら一定のポジションを無意識にキープしているのです
この揺れを制御しているのが肝(かん)であり、風(ふう)が大きく内動している状態では肝(かん)の制御能力に著しく不具合を起こしていると状態と結論づけます
西洋医学的には上記の通りドーパミン(抑制)が不足に対してアセチルコリン(促進)が絶対数、増えた状態からの身体の『動』が制御能力の低下と云うものでしたね
東洋医学的な位置づけではパーキンソン病は『肝』の陽気による風(ふう)の過剰発生での激しい内動による、肝(かん)の制御能力に著しく不具合が生じていると捉えらています


肝陽化風型のパーキンソン病

ずばり、高齢の方のパーキンソン病です
高齢化し、腎(じん)に何らかの異常が期したとき肝虚(かんきょ)派生、悪化したと云う流れです
高齢による肝虚の場合は、まず腎虚(じんきょ)から先に肝虚に至っていると考えられます

腎(じん)



腎の主な働き
発育成長、生殖活動、水分代謝コントロール
1.精気の備蓄
2.成長、発育、生殖をコントロール
3.津液の代謝機能をコントロール、不要な水分を 排泄
4.肺のはたらきを助け、呼吸を規則正しくする

西洋医学から見た腎臓の働きは、主に血液から尿を生成する器官です
東洋医学的には『精気を主る』場所でもあります
東洋医学でいう腎(じん)は水蔵だと云われこの『水』は単なる水分で無く津液(しんえき)にあたります
腎の津液は脾胃(ひい)で作られると考えられてます
機能的な面からいうと、現代医学的には胃腸と脾臓あたりになります
「五臓」のひとつに「脾(ひ)」があり「六腑」のひとつに「胃(い)」両者をまとめて脾胃(ひい)と呼び慣わします

『腎』(じん)と老化について
人は高齢とともに腎虚体質(じんきょたいしつ)の人が増えます
腎虚(じんきょ)は簡単に云えば『老化』と云っても良いくらいです
もちろん最近は男女問わず若くても腎虚体質の方は増えていますが、圧倒的に高齢者の方が多数の体質です
高齢になると定番ですが、肩こりや腰痛等どこか痛い、骨粗しょう症、お小水など身体的なトラブル、眠りやのぼせなどの自律神経的なトラブルなど様々な不調を来すものです
高齢になると身体がトータルで機能低下してしまう事は否めません
機能低下、いわゆる東洋医学が考える老化と云うのはこういう事なのです
食物が口から入って、唾液、胃液、膵液、胆汁、腸液と消化液に寄って消化され消化管内を移動し、小腸粘膜より栄養と吸収され不消化物は大腸で水分を伴い肛門から排出されますね
しかし高齢になると若い頃に比べて食の好みが変わり粗食になり、摂取量も圧倒的に減りそれに伴い栄養吸収量も減って行きます
栄養吸収が減れば減る程、臓器も弱体化してしまうのです
腎(じん)とは最後の守りとも云える身体においての要の臓器と考えます
腎(じん)が弱体化すれば腎(じん)からの他の臓器への弊害が発症するのは必須です
昨今はこの『身体の老化』が進んだ若い年齢の方が増えているのが事実です
食のバランスの悪化、ストレス、矛盾している悪質な環境……不妊症もその一環と考えております(その案件はまた別枠で)

『精気』とは
東洋医学では『精気』は『生き生きとした気』と云う解釈の様です
前記でも記した、目に見えないものですが既に世間で認知されている不可視エネルギーの事ですね
腎(じん)には生まれつき両親から受け継いだ『先天の精』がしまわれて、脾胃(ひい)で飲食から作られた『後天の精』により補充されます
たとえ親から貰った『先天の精』が少なかったとしても『後天の精』があるので大丈夫と云う事です

『先天の精』は西洋医学的には『遺伝』と云う言葉が一番合うかと思います
目に観えない不可視エネルギーを両親から受け継ぐと云う理論はまさに東洋医学的な香りがしますが……
腎中の精気(せいき)は成長、発育、生殖に深く関わり腎(じん)に問題が有ると異常が出ます
東洋医学で云う腎(じん)はそれだけにとどまらず、生命力の源、五臓六府の根本、生命体の根っこともいえる大変広い概念があるのです

西洋医学的には視床下部、脳下垂体、副腎等の内分泌系、泌尿・生殖器系とされる箇所も全て含んでいます
更に腎(じん)の津液は『精気』が無いと動かない考えられているのです

これは西洋医学と殆ど同じで脾胃(ひい)にて飲食物から津液(しんえき)を分離し、肺に送り全身に行き渡らせる
腎が全身の津液(しんえき)量をコントロールし、清なる物を臓腑に運行し、濁なるものは汗と尿に変化させ排出となります
腎(じん)は生殖活動も司ります
しかし限度があり過ぎると年齢は関係なく腎(じん)は痛む事になります
房事過度、中国の言葉です
つまりSEXのし過ぎは年齢関係なくと腎(じん)に痛みが響き、病変と化すること、考えものですね
中年を過ぎるころ老化によるになると、腎(じん)は衰えを見せてきます
精神的なプレッシャーや過労などによる『精気』の過度の労費はその速度を加速させますので注意しましょう
骨がもろくなったり、歯が弱くなったり、髪の毛が白くなるのはその典型的な表現ですが、それ以外にも更年期の発生などもこの腎(じん)の衰えの一つです

まとめると
腎(じん)「五臓六腑」の中でも抜きん出て、生きていく中で最も注意を払うべき臓腑と考えられます
腎(じん)は、人体の各臓器に滋養作用をする物質で、腎陰が不足して腎陰虚になると、肝、心、肺などの臓器に波及し、さらに肝陰虚から肝熱は頭部に登りの脳に影響を与える肝陽上亢に発展します
相対的に腎陽(じんよう)いわゆる熱が亢進して、燥を生み皮膚や唇の乾燥、口渇、熱感、足の火照りなどの熱症状が加わります
(今回のこのパーキンソン病の案件は老化による発症です )

肝腎陰虚(かんじんいんきょ)とは
肝腎陰虚は高齢や(病気のケースもあります)で腎機能の衰えから腎陰虚を発生させ、これが肝陰虚と随伴する事により併発します
(肝虚のみの人はさほど腎虚も重症ではない場合が多いです)
腎(じん)と肝(かん)は東洋医学的にも西洋医学的観点からでも非常に密接であり、あたかも二人三脚のようであります
どちらかが転ぶと片方もそれにつれて転ぶ、そう、東洋医学的には相生(そうせい)と云う関係にあたります
どちらも人体の臓器の中で重要な役割を果たしている臓器なのです
日本では「重要である」という意味で「肝腎(かんじん)である」とか「肝腎要(かんじんかなめ)」という言葉がありますね
どちらも身体において重要な役割を果たしていることから派生して、このような言葉が用いられてきたのではないでしょうか
高齢による肝虚の場合は、まず腎虚から主に肝虚が併発していると考えられます
腎(じん)の冷却機能が減退、肝陰虚と重なる事で肝(かん)の熱がますます高まり喉や口の乾きが出始めます
また腎の存在する腰やウエスト辺りが重く痛く感じるようになる
やがて肝腎陰虚(かんじんいんきょ)が悪化すると肝熱は頭部に登りの脳に影響を与える肝陽上亢(かんようじょうこう)と呼ばれる段階になるのです

肝陽上亢(かんようじょうこう)とは
目立つ症状は末端の冷え、そして陽気が熱が上へ上へと上がりのぼせる
やがて熱が病気によるストレスと結びつき火邪(かじゃ)となりこれが内風を発生させて肝陽上亢(かんようじょうこう)と呼ばれる段階になる

肝の陰液不足のために相対的に肝陽(かんよう)が亢進して生じます
肝陰虚・肝腎陰虚による陰虚火旺でありますが、肝血虚に伴うこともあります
特徴は陰液不足の症候とともにあらわれる熱証(虚熱)で、上半身とくに顔面や頭部に熱証が、いわゆる『のぼせ』の状態がみられます

脳の抑制過程の減弱による興奮性増大・自律神経系の興奮・ホルモン失調・異化作用亢進などが関連すると考えられます
肝が柔順性を失えばイライラして怒りっぽくなるまさに分かりやす症状ですね
そして肝(かん)はストレスに非常に弱く、更に悪化を生むのです

火邪(かじゃ)とは
火邪(かじゃ)とは外因の六邪のひとつとされてますが、今回、この火邪(かじゃ)は自身の身体の中から沸き起こる火邪(かじゃ)です
このパーキンソン病はこのケースと考えます
身体は複雑なバランスを日々変化させながら保たれているわけですが、さまざまな要因でバランスは崩れるものです
東洋医学では陰陽、気血水、臓腑、経絡(けいらく)などのバランスが失調したときに身体で邪気が生まれるともされています
この場合の火邪(かじゃ)は肝腎虚(かんじんいんきょ)による陰液(いんえき)&津液(しんえき)不足によるいわゆる水不足での熱の発生と位置づけていいでしょう
内生の邪気のうち「火・熱」の特徴を持ったものを火邪(かじゃ)とか熱邪(ねつじゃ)と呼ばれます
他に火邪(かじゃ)の最大の特徴は陰液・津液の消耗を頽廃させ熱の性質を持ち、身体の上部に昇りやすく体内で風邪(ふうじゃ)を呼び起こし、内風(ないふう)を発生させると考えられてます

肝陽化風(かんようかふう)とは
肝陽上亢が進むと、内風(ないふう)がますます強くなります
内風(ないふう)とは身体内に発生する風(ふう)の事でしたね
前記の通り、風(ふう)は自然界で風が吹き、木が揺れるように目眩や震えを発生させるとされる症状です
この時点でパーキンソン病と認定される程の強烈な風(ふう)が体内に内動している状態です
脳の抑制過程の減弱、動揺現象、めまい、頭の脹痛、耳鳴り、と云った自律神経系、そして肢体が痺れ、ふるえ、或は言語不自由、うまく歩けないなどのパーキンソン病の特有な状態になってしまうのです

治療

まず、投薬を止めるわけにはいきませんので投薬と並行した治療を行います
これは血虚生風型のパーキンソン病肝陽化風型(高齢による)のパーキンソン病も共通な内容です
パーキンソン病の薬は上記で記した通り、副作用とは切っても切りはなせない強い副作用の薬が多いものです
そして年数を重ねればウエアリング・オフが出てしまい、投薬類を増やさざる得ない、そんな排他的なやり方を何年も試行しているのが現実なのです

我々の東洋医学的なアプローチは
『投薬を増やさない』
この一語のみです

投薬を続けると、どんな病気でも肝(かん)が弱ってきます
更に薬によるドパミン操作のための副作用で不安に陥りやすくなるのは必須です
主な中心的な薬はレボドバ製剤、その副作用一覧には悪心、幻覚、長期服用による不随運動(勝手に身体の一部が動いてしまう)やウェアリング・オフそんな不安にさせる内容ばかりです
当院は肝(かん)の治療ばかりではなく、投薬の副作用である自律神経のブレ、それを整える治療も並行して行います
鍼灸が最も得意とする交感神経から→副交感神経に優位に導く施術もしましょう
まとめると
まずやること


パーキンソン病はこれから決定的な治療方法や新薬も出てくる可能性が近い将来にあると信じてます
まずは今はメンタルと、肝(かん)を整えて薬の効きやすい身体を作りましょう
そしてその日まで進行を止める、諦めないでください

ウエアリングオフを見込んだタイミング
投薬を済ませ、症状が上がり行くタイミングで治療を施します
考え方としては、より薬の浸透性を高める為に気血(きけつ)の流動を活発化させるます
次のウエアリングオフの波を小さくするのが目的なのです




血虚生風型のパーキンソン病の治療
肝の経絡の経穴(ツボ)を狙います
肝の制御能力の促進を考えます
肝血不足が最もの原因のため血の生成不足の改善を促す事を中心に治療をします
肝の第一機能はである蔵血(ぞうけつ)そして第二の機能 は琉泄(そせつ)の正常化に勤めます
気血が末端まで行き渡り、筋脈が滋養され血が絡に栄養分を供給スムーズにし、そして肝が血のコントロールを出来るように近づけるのが目的です
自律神経の束が有る仙骨の上も丁寧に狙います
肝は、手掌全体で押すように触って熱が感じ取れるならば肝に陽気が発生しているとみなします
また肋骨弓の際、横隔膜あたりからグッと押し込んだ際に強い抵抗や痛みを感じるようであれば肝が腫れているとする
危ないのでご自分では押さないで下さい

※とりあえず基本的な肝の治療と自律神経の治療を載せました
個人の『証』によって替えたり増やしたりもします、要は病症の進み具合によっては治療も付け加えたりもすると云う事なのです




1.太衝(たいしょう)
太衝は、足の甲側で、親指と第二指の中足骨の間を撫で上げてきて、接合部にぶつかった所にあります
太衝は、肝経の原穴(基本になる経穴)で、肝経の働きを調える作用が有ります
要は肝臓の機能を高め、血の産生を促す作用が有ります
他にも生殖器、泌尿器疾患、腹部内の冷え、消化不良、眼精疲労などに有効で結構万能な経穴(ツボ)でなのです
2.中封(ちゅうほう)
中封は、内くるぶしの尖りから真っ直ぐ前に落ちた凹みに存在します
お腹の冷え、足などの末端の冷え、尿疾患に有効です
3.曲泉(きょくせん)
曲泉は、膝を曲げた時に出来るシワ(横紋)の内側の端で太い骨の際にあります
曲泉は、男女問わず、生殖器、泌尿器疾患、腰痛などに有効で肝虚を改善する経穴(ツボ)として、太衝と併用されることをお勧めします
4.腎兪
第2、第3腰椎棘突起間の外1寸5分のところです
へその高さで、親指が前に、ほかの四本の指は後ろにくるようにして掌が上にくる状態で、手を腰の横に取った姿勢で丁度中指の当たる位置になります
腎への刺激は、全身の水分調節に働きますし、生命活動に必要な『気』を補う・蓄えるにも一役も二役も買ってくれる大切な経穴(ツボ)です
5.肝兪
肝兪穴は背骨の第9・10胸椎の間から指の幅2本分(1寸5分)外に行ったところに取穴する経穴(ツボ)です
東洋医学では肝には魂が宿る、そして身体の中枢器官であると共に精神を司るとされています
この経穴(ツボ)は肝に近く、肝経の気がめぐる所で肝疾患を治すので肝兪と名付けられた云われてます
肝臓の疲れをとり、疲労回復の経穴(ツボ)
またかすみ目や視力減退といった目の老化にも効果があるとされています
肝兪穴は東洋医学的には『肝臓を治する所』なのです
6.仙骨の上
これといって経穴(ツボ)では無いのですが、この辺りは自律神経の束がたくさん通っています
まず、全体的にローラー灸で温め、自律神経の流れに添って灸で優しく刺激を与え交感神経から副交感神経を優位にしていく作用を促します
6.期門(きもん)
これはかなり個人差があり、肋骨の開き具合で経穴(ツボ)は上下します
閉じた肋骨の奥に位置する人もいます
普通は肝の上当たりに位置するものですが
一番下の肋骨、肋骨弓のきわで横隔膜のあたりからグッと押し込んだところにあります
期門は、肝臓の状態を反映する経穴(ツボ)です
胃腸を整え、吐き気に効果があり肝の解毒の働きを促進します
二日酔いなどで肝臓の働きが弱っていて胃腸の調子が悪いときなどにも効果的で更に『気』が集まる場所のひとつす
経穴(ツボ)の刺激により全身のエネルギー代謝の活性にも繋がります
期門は、強すぎる刺激には返って効果があがりません
世間では二日酔いのツボと云われ押すと効果的!とか歌われてます、かの文豪池波正太郎先生が遊女に教えてもらった酒の解毒のツボと……
はい、絶対にご自分で無理に押さないで下さい
押せばいいってもんじゃないんですよこの経穴(ツボ)は
肋骨って脆いんです、折れますよ



肝陽化風型のパーキンソン病の治療
肝陽化風型のパーキンソン病は典型的な老化による発症です
腎の経絡(けいらく)を重点的に狙います
このケースは腎経(じんけい)の気が弱くなったための腎虚と云えます
老化とともに誰でも腎は弱くなって行くものです
この腎経の刺激は弱った腎を活性化していく目的であります
体内の12経絡のうち足には陰陽三本ずつ計六本の経絡が走っています
(陰の経絡は、脾経、肝経、腎経の三つです)
共に足先から上がっていって腹部内の脾臓や膵臓、肝臓、腎臓等に気を巡らせ、更に胸部内に伸びている経絡です腎経の正式名称は「足少陰腎経」(あししょういんじんけい)と云います
足の陰側(内側)に流れている経絡のうち、前側を太陰、中側を厥陰、後側を少陰と言い、少陰というのは足の何処を流れているのかという通りの名前みたいなものです
腎経というのは、主に腎臓と関係のある経絡、腎臓を巡っている経絡という意味で、「足の少陰腎経」というのは、足の中の陰側の中の後側を通っており、腎臓に巡っている経絡だということになります
と云う事で、まず少陰腎経を狙います
もちろん腎虚だけでなく肝虚も視野に入れて治療します





1.湧泉(ゆうせん)
湧泉は、足の裏で土踏まずの前側です
赤い皮膚と白い皮膚との境目に出来る「ヘの字」の谷側にあります
湧泉は、12経絡の腎経の出発点で腎経の作用のうちの「精力減退」や「疲労回復」など肉体的な消耗を回復する場合によく用いられます
2.太谿(たいけい)
太谿は、内くるぶしとアキレス腱との間の陥凹部にあります
太谿は腎の気を活性し、腎全体の働きを良くします
この経穴(つぼ)は腎経の気を活性し、腎経全体の流れの働きを良くします
慢性腎臓疾患、婦人科疾患、免疫力低下などにもってこいなのです
3.大鐘(だいしょう)
大鐘は、アキレス腱の前縁を撫で降ろしていって踵の骨に突き当たった所にあります
この経穴(つぼ)は今回は泌尿器系の活性化目的で使います
もちろん、一般的に云われている神経衰弱にも効果があります
4.復留(ふくりゅう)
復溜は、内くるぶし太谿より二寸上(親指横2本分くらい上)でアキレス腱の前にあります
この経穴(つぼ)腎経の虚証に対して絶大な効果を発揮します
冷え、小便赤黄、汗のコントロール、物忘れ、精力減退、耳鳴り、めまい、耳聾、手足のしびれ等、腎虚においては大切な経穴です
5.陰谷(いんこく)
膝をくの字に少し曲げ、膝の内側に出来るシワの膝頭の側に有ります
この経穴(つぼ)は今回は腎の精熱目的にて刺激します
もちろん泌尿器系に効く経穴(つぼ)です
6.腎兪
第2、第3腰椎棘突起間、L2L3の外1寸5分のところです
へその高さで、親指が前に、ほかの四本の指は後ろにくるようにして掌が上にくる状態で、手を腰の横に取った姿勢で丁度中指の当たる位置になります
この経穴(つぼ)は今回の目的は津液を増加の促進です
腎への刺激は、全身の水分調節に働きますし、生命活動に必要な『気』を補う・蓄えるにも一役も二役も買ってくれる大切な経穴(ツボ)です
7.兪府(ゆふ)
兪府は鎖骨のちょうど下側に位置します
この経穴(つぼ)の今回のアプローチは上にのぼった陽気(熱を)散らす作用を促します

直接灸をうつ
足の裏に直接灸をします
この灸の目的は熱さ痛さの感覚を脳に届ける作用と、末端に血液を呼びこむ作用を期待します
正常な人はワンテイクで強烈な熱さを感じるとるものです
しかし、肝腎虚で陽気の上亢により末端が冷えきっていると感覚が鈍くなっています
ごくごく小さなカサブタは出来ますが大したことは無くすぐに消えます

脳に熱さ感覚を呼び戻しましょう

そして重要なポイントは『歩く事』なのです
本当は足の末端まで血を回すのは歩くのが一番手っ取り早いのです
筋力も落とさない予防にもなります
まだバランスに問題なく歩ける方は、転ばないようにまずは足を使って下さい
歩けば歩く程に脳に刺激が入り、そして足も結構暖まるものです